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関節リウマチの治療の流れ
関節リウマチの治療は大きく問診、検査、診断・治療開始の流れで行われます。関節破壊を止められるような治療法が見つかってきたとはいえ、治療が長引く場合が多い病気であるのも事実。しっかり主治医と相談の上、あなたに合った治療計画をたてることが大切です。当院では、あなたが人生を楽しみながらうまく病気と付き合っていける方法を一緒に探していきたい、と考えて日々治療にあたっております。
1.問診
主に下記の内容をうかがいます。
家族歴
リウマチには遺伝的要因がみられます。関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、強皮症、筋無力症など、自己免疫性の病気になった人がいないかどうかをうかがいます。
既往歴
これまでにかかったことのある病気についてをうかがいます。特に甲状腺の病気やシェーグレン症候群、高血圧などリウマチとかかわりのある病気の有無が大切です。また抗リウマチ薬を使用する場合、副作用などに注意する上で、胃腸障害、結核、糖尿病、腎臓の病気、肝臓の病気、薬物アレルギーの有無も聞かれます。
現在の病気
発病の時期、最初に症状が現れた関節、発病前後の状況(出産、身体的または精神的な過労、発熱、全身の倦怠感などがあったかどうか)。
2.検査
リウマチは早期発見が大切ですが、特に慢性リウマチの場合、決定的な診断の決め手が無く、初期での診断が難しい病気です。そのため、検査を何度も繰り返す必要のある場合があります。検査項目としては、下記のようなものがあります。
- 白血球数
- ヘモグロビン数
- 赤血球沈降速度(赤沈)
- GOT(AST):グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)
- GPT(ALT):グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ
- γーGTP:γグルタミルトランスペプチダーゼ
- クレアチニン
- CRP:C反応性蛋白
- RAテスト
3.診断・治療開始
関節リウマチの治療法は、症状や進み具合にあわせて薬物療法、手術療法、リハビリテーションなどが行われます。
薬物療法の目的は関節の腫れや痛みを抑え、関節破壊の進行を抑制することです。
手術療法には、増殖した関節の滑膜を取り除く滑膜切除術、破壊された関節を人口関節に置き換える機能再建術などがあります。
リハビリテーションには、関節の動く範囲を広げ、血液の流れをよくして痛みや筋肉のこわばりをとるための運動療法、患部を温めて痛みやこわばりを和らげる温熱療法などがあります。
薬物療法
主な種類は抗リウマチ薬(DMARD)、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)、副腎皮質ホルモン薬(ステロイド)の3つになります。また最近では、生物学的製剤と呼ばれる薬剤が新しい治療法が注目を集めています。 >>生物学的製剤について詳しくはこちら
抗リウマチ薬(DMARD)
炎症の原因である免疫異常に働きかけ、病気の進行自体を抑える目的のものです。一般に効果があらわれるのが遅く、早くて1カ月、遅いと半年かかることもあります。したがって、1カ月~半年くらいの期間で効果の判定を行います。効果が見られない場合は、他のDMARDに切り替えることもあります。
現在日本で使われているDMARDには11種類あります。多くの場合、副作用は使い始めの数カ月の間に出てきますが、それ以上使い続けるうちに出ることもあるので、必ず医師の指示にしたがって服用してください。
非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)
痛みと炎症を抑える、速効性のある薬です。関節リウマチは痛みが長く続くので、NSAIDを長期間服用する場合が多くなります。この際、もっとも多い副作用である胃腸障害、とくに胃・十二指腸潰瘍(かいよう)(NSAID潰瘍)に注意する必要があります。胃腸障害を起こさない剤形上の工夫も進められましたが、やはり胃腸障害は大きな問題として残っています。
日本リウマチ財団が1991年に行った調査によると、NSAIDを服用している患者さんを胃カメラで調べると、62%の方に胃腸障害を認め、そのうち55%の方は自分自身では何の自覚症状もないということでした。このことから、NSAIDを使いすぎないように警告されました。なお最近では、胃腸障害の少ない新しいタイプのNSAIDも使われ始めています。
副腎皮質ホルモン薬(ステロイド)
ステロイドは少量で炎症を強力に抑えます。炎症が激しい場合などに使用し、劇的に改善する場合がありますが、すぐにやめるとまた症状が出てくることがあります。したがって、やめる際には徐々に量を減らしていく必要があります。投与量の調整が難しい薬ですので、必ず医師の指示にしたがって服用してください。
※副作用について
副作用の出方は個人差がありますが、副作用を抑える薬の追加などによって適切な処置を施すことは可能です。いずれにせよ投薬治療は専門医の指導のもとで行うことが大切であり、変調を感じた場合には、すぐに相談することが必要です。
リハビリテーション療法
薬には痛みや炎症をとる効果が期待できます。しかし、薬にばかり頼って関節を動かさないでいると、関節が固くこわばってしまうことがあります。毎日続けるために、家庭でのリハビリテーションが大切です。毎日繰り返し長く行えば、関節の機能障害を抑え、痛みもやわらいでいきます。
運動療法
軽い運動には末梢の血液の流れをよくし、痛みをやわらげ、筋肉のこわばりをとる効果があります。また、適度に体を動かせばストレスが減りますし、全身の運動は免疫力を高めます。自分の調子がよいときに気の向くだけ身体を動かすのがポイントです。
熱療法
腫れや痛みが強い関節を温めることで、痛みやこわばりをやわらげます。
手術療法
投薬ではすまない程に症状が進行している場合は、手術という選択肢もあります。手術は、リウマチ科が併設された整形外科で行われます。炎症をとって症状の進行をくいとめたり、関節リウマチの病変部分を除去する手術のほか、体内に人工関節を入れる手術もあります。最近の人工関節は耐久性も増していることから、再手術のリスクも低くなってきているとされます。
ただし手術はいずれにせよ「最後の手段」であり、関節リウマチの治療においては薬や日常生活上のリハビリを通じて、病気そのものを重症化させないことがきわめて大切であることを、よく肝に銘じておきたいものです。
関節リウマチ治療の目標
関節リウマチの目的は、
1、今ある痛みを取除き
2、関節破壊の進行を止め
3、日常生活動作を改善すること
です。
症状が落ち着いて病気の進行が止まっている状態を「寛解」と言います。
寛解状態になることが、リウマチ治療の大きな目標になります。
関節リウマチの症状は、発症後の早い時期に急速に進行します。
そのため、関節リウマチと診断されてから、できる限り早い時期から関節破壊が進行しないよう治療を行うことが大切です。